ちょこっと (=^・^=)いずみ:食べなきゃ死んじゃうよ
2020-11-12
食べなきゃ死んじゃうよ
介護の仕事で嫌なことは数あれど、食欲のない人に半ば無理やり行う食事介助がその最たるものではないでしょうか。
Sさんは定期的にご飯を食べなくなってしまいます。今年も長梅雨の影響からか、体調を崩し、食事が摂れなくなってしまいました。元々、自分のペースでゆっくりと召し上がる方です。Sさんの好物を出したり、食べやすいように一口大にしたりミキサーにかけたり、柔らかくしたりと、色々工夫するのですが手を着けずに顔を伏せてしまいます。
私たちのホームでは、極端に食事摂取量が少なくなければ、ご本人が楽しく食事を召し上がることを大切にしています。皆さんご高齢で、それぞれ摂取量は違いますし、ただいっぱい食べることを目標にはしていません。
Sさんが食事を摂らなくなって、無理にでも召し上がって頂かなければならない状況になってしまいました。介護経験の少ない職員は「無理しなくていいと言っていたのに‥」と休憩中に不満を漏らしていたそうです。一緒に休んでいたベテラン職員は、過去に厳しい現実を目の当たりにしてきていますから、「食べなきゃ死んじゃうんだよ」と忠告してくれています。
私は、介護は綺麗ごとだけでは済まない時もあると思っています。その時に何をしなければならないのか、このまま続いたらどうなってしまうのか、今できる事を全力でやってみないといけない時があると思います。もちろん、無理に食べて頂くのが当たり前になって、それが好ましくないという感覚が薄れてしまう事、食べないからと言って、直ぐに諦めてしまう事、その両極端になり過ぎないように、その方のご状態や状況に合わせた介助が必要になってくるのではないでしょうか。
例え当初は少し強引でも、口から食事を摂ることで、体力が上向く勝算があるなら、賭けてみても良いと思いました。時間はかかりましたが、徐々に一口、二口介助すると、ご自分でも少しずつ召し上がられるようになりました。今はご自分のペースで、Sさんにあった食事量で全量近く召し上がられ、以前のように元気になられています。
この先再びSさんが食事を摂れなくなることがあるでしょう。年を重ねる毎にご状態は変わっていきますし、何が良いのか、はっきりとした答えはいまも見つかっていません。その時が来たら、またじたばた迷いながら考え、その時のSさんに向き合っていきたいと思います。
グループホーム ソフィアいずみ 泉野 かおり